革命をもたらした椅子 バリアブル・バランスチェア

ピーター・オプスヴィックによって設計され、1979年に市場に導入されたVariablebalansRは、オリジナルのバランスチェアーです。この画期的なデザインは、上体をオープンにし、脊椎の自然な湾曲を保てる新しいコンセプトに基づく、その後のバランスチェアーの開発に、大きな影響を与えました。

Dr.Aage Mandalは、以前からの研究で、伝統的な椅子の形状が、人間の体の形態を全く考慮してないと指摘してきましたが、Opsvikは彼の意見を支持し、Dr.Hans Christian Mengshoel及びデザイナーOddvin Rykken、Svein Gusrudたちと共同で、全く新しいタイプの椅子を開発しました。

Opsvikは、まず伝統的な椅子が人間の形態を考慮してなかったこと、そして現代の人間が、何かにつけて座りがちになっている、つまり職場においても、レジャーの面でも、座ることに支配されている事実を再認識しました。しかしながら、人体は本来長時間座るために設計されたものではなく、そのため長時間の座位に起因する腰痛などの諸問題が、今日引き起こされています。

バランスチェアーが、1980年代に登場して以来、多くの模倣品が市場に出て来ました。これら新規参入品の多くは、デザインを少し変化させたもので、バランスチェアーの基本コンセプトを理解して作られたとは言えません。

実際には、バランスチェアー(膝付き椅子)と呼ばれていても、全てがその機能を有しているとは言えず、そのため今日では、本来のバランスチェアーと、後発の膝付き椅子との比較研究が盛んに行われている状況です。
ある研究では、バランスチェアーについては、どれもほとんど同じような利点を持っていて、大差はない、と結論づけられています。残念なことは、これら後発の膝付き椅子も、オリジナルも、全て同一のカテゴリーとして扱われ、本来の膝付きバランスチェアーのコンセプトが、今日誤解される傾向にあることです。

事実とは

バランスチェアーの座面デザインは、従来の椅子のデザインで制限されていた、固定した座り方を改善することから始まりました。そのデザインコンセプトは、座った時に、太ももと胴体との角度を広げ、同時に下肢を折り曲げて、膝当てでサポートする仕組みです。

しばしば"膝付き椅子"、あるいは"膝サポート椅子" と呼ばれてはいますが、バランスチェアーにおいて、下肢サポート部は、膝部分への体重負荷を低減するために、実際には膝より下、つまりすねの部分をサポートしています。バランスチェアーは、自然な姿勢を保ち、尚且つ姿勢の変化にも対応できるように設計されています。

初期のバランスチェアーは、調整機能が限られていましたが、その後のバージョンでは、座面の深さ、高さの調整や、回転、背面、胸部サポートやロッキング機能などが追加されています。長時間座る生活習慣が、特に首、肩、背中を含む、慢性的な筋骨格系疾患の発症リスクを増加させることを私たちは知っています。最近の数十年で、人口に対する脊髄疾患の発生率が増加し続けています。これらの疾患は、ますます深刻になり、経済的にも大問題となり、健康不調から生活リズムや仕事への悪影響も増えています。多くの人が自分たちの長い生活の中で、このように長く座る生活習慣から来る筋骨格系疾患を経験し、その症状は再発し、悪化する傾向にあります。

体を動かす必要性

我々は、じっと座るためではなく、動くために生まれてきました。何時間も椅子に座ったままで仕事をする事務職の人々は、ついには体の痛み、不具合を経験するでしょう。健康のために、時々体を動かすことはもちろん重要ですが、同時に長時間座る椅子についても考察することが肝心です。元々人間の体は、一日中じっと座っているようには作られていません。

姿勢も重要です。悪い姿勢のままで、固定した椅子に座ったまま体を無理に動かすことは、好ましくありません。そのため、適切な姿勢を保ちながら、可能な限り体の動きをサポートする椅子を利用することで、腰の痛みや頭の痛みは必然的に減少します。

加えて、バランスチェアーの特徴である胸部を開放するオープンボディが、血管や神経の収縮を低減します。いくつかの研究によって、バランスチェアーに座ったまま継続的、無意識的に体を動かすことで、作業の集中力、生産性や注意力を高められることも分かってきています。



すねの部分を膝当てに乗せて座ってください

 

一般的には、「バランスチェアーが、膝あてに体重を乗せ、膝部分に不要な負担を与え、その結果膝関節に害を与える」とする、間違った認識があります。でもこれは誤りです。膝あて、と呼ばれる部分は、単なる視覚的ミスで、実際に足部分で膝当てに当たるのは、すねの部分です。バランスチェアーに座った時、全体重の90%は座面が受けとめ、残りの10%のみが、すね当て部で受け止められます。

このすね当ては、ユーザーが滑って前のめりになることを防ぐとともに、自然に胸部と大腿部との角度を広げて正しい姿勢をキープすることを可能にします。市場に出回っている、類似した後発バランスチェアーの多くは、この基本原則を離れ、それゆえ膝当てという間違った言葉が氾濫し、人々に悪い印象を与えています。

正しくデザインされたバランスチェアーに、ユーザーが正しく座れば、膝部分にとっては、従来の固定椅子よりもむしろ健康的です。固定された従来の椅子に静的に座るよりは、バランスチェアーに座って、無意識の内に上半身や脚部を動かすことの方が、血流や筋の活動を増強させることになり、長時間の座位での仕事でも生産性を増します。

バランスチェアーの適正な使用とは、各脚を適時屈伸させることも含みます。バランスチェアーは、何時間も両足の膝を曲げて、両足をロックさせるものではありません。つまり、片足をすね当てに置いて前方への体のすべりを止める間、もう一方の足を延ばしておくことが可能です。この方法で、座りながら上半身の運動をサポートすると共に、正しい姿勢をキープしたまま、適時片足をリラックスさせることができます。この座り方を知らなかったために、バランスチェアーは、両足を膝当てに長時間固定するので、膝に良くないとの誤解も生まれて来ました。けれども、一方の足をすね当てに当てて置き、もう片方の足をリラックスさせることでも、脊椎は理想湾曲を描き、良い姿勢が十分保てます。

一日にわずか2時間で得られる体へのメリット

バランスチェアーに座って仕事をする人は、それをしない人に比べ、より健康的です。なぜでしょうか?バランスチェアーは、座りながら背骨を最も自然に、理想的に湾曲させ、同時に体の活動を促進するからです。

バランスチェアーを使用すると、筋骨格系の健康は維持され、作業中に自然にカロリーを燃やします。従来から使用している普通の椅子を手放したくない人は、今の椅子を使い続けながら、2次的な椅子として、バランスチェアーをお使いください。一日にわずか2時間バランスチェアーに座ることで、健康が増進されます。毎日、普通の椅子とバランスチェアーとをスイッチすることの繰り返しが、最も簡単で健康な座り方として、紹介されています。


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